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不機嫌な声がもう一つ。吉田とは比べ物にならないぐらいの冷酷さ。
「乃美さん…。」
「話がある来なさい。」
また面倒な事に巻き込まれたと頭を掻きながら乃美について歩いた。
乃美の部屋に通されてより緊迫感が増した。
しゃんと背筋を伸ばして発される言葉を待つ。
「桂はまだあの小娘に現を抜かしてるのか。」【BOTOX 美容】 收鼻翼、去除眉心紋療程資訊 - Cutis
「はぁ…。しかし彼女は間者でない事も明らかですし,桂さんの恩人でありごく普通の娘さんで…。」
「だから尚更問題なのだ。たかが小娘に桂とあろう男があの様だ。加えて稔麿まで尻を追っかけて情けない。」
それには二人には悪いが反論しきれなかった。確かに度が過ぎてる部分がある。
「あの小娘は悪影響でしかない。伊藤,斬れ。」
「は?」
間髪入れずにそう答えていた。
『何つった?このオヤジ…。』
腕を組んで顰めっ面の乃美の顔を瞬きも忘れてじっと見ていた。
「斬れと言った。新選組の仕業にしておけばいいだろ。長州の間者の疑いをかけられて斬られた事にでもしておけ。」
「そんな事…出来る訳ないでしょう…何の罪も無い…娘さんを斬れと?」
『正気か?』
伊藤の顔からどんどん血の気が引いていく。
どう見ても乃美の顔が真剣だから。本気でこの男は三津を斬れと,今命令しているんだ。
額にはじんわりと嫌な汗が滲んでいる。
「出来ません…。」
そんな事出来る訳が無い。悪影響?冗談じゃない。桂と三津は相思相愛なだけだ。
「桂さんも吉田さんも藩のためにどれだけ働いてるとお思いですか。その疲れを癒やす為に心を許した相手の元に通うぐらい…。」
「あの芸妓はどうした。あれで充分だろ。あの女は頭が良い。おまけに藩の役に立つ。
それに比べてあの小娘はどうだ?たかが甘味屋の娘の癖に壬生狼にも通じておるし稔麿に仲間を斬らせる程誑かしてどう考えても邪魔でしかない。」
「しかし!」
「お前が殺らぬなら他の者に斬らせるまでだ。あの娘は危険だ。」
乃美の三津を殺そうとする意思は堅いらしくこれ以上の話し合いは無駄に等しかった。
『自分の手は汚さねぇ気か…。他の誰かに斬らせる訳にはいかん…。斬らせてたまるか…。』
「分かりました…私がやります…。」
その返答に乃美はにやりと笑った。その嫌味ったらしさに吐き気がする程だった。
「壬生狼に斬られたとなれば桂も吉田もより闘志を燃やして力を尽くすだろうよ。これであの娘もようやく我らの役に立つのだ。期待してるぞ。伊藤。」
『くそっ!』
腹立たしいその顔面を殴ってやりたかったが必死に堪えて部屋を出た。
三津を斬るなんて絶対に出来ない。他者に斬らせる訳にもいかない。
『斬らずとも引き離せばいいだろうが…。どうにか生かさないと…。』
感情で突っ走ってもろくな事にならない。何か案を捻りださねば。
『どうする…桂さんに説明して諦めてもらうか?
いや,話せば余計に反発して手放さないぞ…あの人…。』
それに乃美と桂が女絡みの一件で揉めるなんて藩の中が乱れるだけ。
『三津さんは自分の立場を弁えてる…話せばきっと身を退く。吉田さん止めるの難しいなぁ…。』
吉田は鋭いからきっとすぐに気付くはず。それならば吉田に助けを求めて何か案を捻り出してもらえないか。
『いやいや吉田さんにこの命令が知れたらきっと乃美さんにも刀を抜くぞ…。』
伊藤はぶるっと身を震わせた。吉田には絶対に知られてはならないと思った。
「あー!もう!」
伊藤は頭を抱えて発狂した。
「何かあったの?」
一番聞きたくなかった声が伊藤の耳に届いた。